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「波動関数」は不思議である。「波動関数」を用いると、この世の森羅万象すべてを「波動」として記述できるという。おいらがこうやってパソコンに向かってなにやら書いている様子も、「波動」で示すことができるらしい。
問題は、「波動関数」に虚数がふくまれていることだ。虚数は、二乗するとマイナスになる想像上の数である。「波動関数」は、虚数と、この世の数である実数が組み合わさった複素数というものでできている。
パソコンに向かうおいらの「波動」は、複素数なのだ。おいらは、自分では、この世の生き物だとおもっているのであるが、そんなおいらが、なぜかこの世のものでない虚数で示される。
虚数が、この世のものでないのなら、どの世のものなのだ。それは、実在するかどうかさえわからない「虚空間」のものなのか?もしも虚数が「虚空間」のものなら、複素数であるおいらも「虚空間」のものなのか?
「波動関数」を信ずるなら、おいらは、少なくとも波動的には「虚空間」にいることになる。正確にいうなら、「波動関数」は崩壊する。崩壊して消え去る。ということは、つまりこういうことだ。「波動関数」が生き生きと活動しているあいだは、おいらは「波動」として「虚空間」にいたのであるが、崩壊して消え去ったあと、おいらはこの世に物体となってあらわれたということなのだ。
「波動関数」はメッセンジャーなのかもしれない。「虚空間」の情報をこの世へとはこぶ「情報の運び屋」なのだ。おいらは、「波動関数」にはこばれてこの世にやって来た「波動」であったのだ。だが、おいらの「波動関数」はすぐに崩壊して、物体としてのおいらだけがのこった。それが、いまここにいるおいらというわけだ。
「虚空間」は、この世の背後にあって、この世の森羅万象すべてを生み出している。「波動関数」を信ずるかぎり、そうした結論を得るのは必然だ。この世界の背後には、おいらが直接的には知ることができない、なんかスゲェ世界がある。それは二乗してマイナスになる世界だ。想像不可能な世界だ。「虚空間」を想像することができないおいらは、今日もまた「ゴキブリホイホイ」を床におくことだけを考える。
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